2012年1月1日
東京都知事 石原慎太郎

平成二十四年 知事年頭所感

明けましておめでとうございます。

昨年、我が国は千年に一度といわれる東日本大震災の大禍に遭い、未曾有の被害を受けました。東京都は、いち早く被災三県に現地事務所を立ち上げるとともに人的支援を行うなど、被災地の復旧・復興を積極的に支援してきましたが、今後も全力の支援で被災地を元気づけ、日本を牽引してまいります。

今回の震災では、震源から遠く離れた東京においても、これまでの防災対策を根底から揺るがし、大都市東京の脆弱性が露呈しました。都では、一刻たりとも日本の頭脳・心臓が止まらない高度防災都市を目指し、木造住宅密集地域の不燃化や建物の耐震化を進めつつ、近所同士で助け合う「防災隣組」の活動を支援してまいります。また、エネルギーの危機に対しても、百万キロワット級の天然ガス発電所や太陽光発電システムの導入を進め、高効率・低炭素な東京産の電力を創出します。

危機を乗り越えるのは人の力であります。今こそ、次代を担う人材の育成に本気で乗り出さなければなりません。自信と誇りを持って世界と渡り合える人材を東京から育てるべく、海外留学を後押しするとともに、教育再生の議論を進めます。日本の国力を左右する少子化にも、都独自の認証保育所をフル活用して取り組みます。さらには、高齢者が知識・経験を最大限活かし、生涯現役で活躍できる都市を目指します。

また、東日本大震災を踏まえ「十年後の東京」計画を充実・強化し、二〇二〇年までを計画期間とする新たな長期ビジョンを、昨年末に策定しました。この計画を羅針盤とし、東京を世界に誇れる都市へと進化させてまいります。

我々日本人は、戦後、アメリカ依存の平和に安住しながら繁栄を謳歌し、物質的な豊かさと引き換えに、先人が受け継いできた日本人の価値の機軸、国民としての自負を失ってしまいました。その結果、今の日本人にとっての絶対的な価値は、物欲や金銭欲といった我欲の達成でしかありません。

一方、今回の震災では、被災者同士が支え合い、秩序正しく行動する姿が世界を瞠目させました。この大震災を機に、我々は、家族や地域の絆、そして国家というものを改めて見つめ直さなければなりません。東京は、生きた現場から問題の本質を捉え、具体的行動により範を示していきたいと思います。

昨年、東京都は二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催都市に立候補しました。震災で大きく傷ついた日本をスポーツの力で再生し、復興した姿を世界に披瀝するためにも、是非とも東京への招致を実現したいと思いますので、皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

日本人一人ひとりが持てる力を発揮し、それが束ねられることで、必ずや輝かしい未来が拓けると思います。

皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

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東京都漬物事業協同組合 事務局
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