2009年1月1日
東京都知事 石原慎太郎

平成21年 知事年頭所感

新年明けましておめでとうございます。

新しい年が、皆様にとって健やかで希望に満ちた一年でありますよう、心からお祈り申し上げます。

今、世界は未曾有の金融・経済危機に直面しております。米国発の金融市場の混乱は、百年に一度という金融危機に発展し、わが国経済にも大きな影響を及ぼしております。国政に目を転じてみれば、相も変わらず危機感に乏しく、浮かんでは消える解散・総選挙の話題に右往左往するばかりです。

しかし、都政に停滞は許されません。日本のダイナモたる東京を支える中小零細企業の支援や雇用創出、周産期医療の充実や新型インフルエンザ対策など、都は喫緊の課題に対して実効性のある緊急施策を広範囲に講じております。

一方、地球温暖化問題も待ったなしの状況ですが、大国といわれる国々の対応は実に緩慢です。あと、五、六年のうちに徹底した対策を講じなければこの地球は取り返しがつかないところまで来ています。都では動きの遅い国を待つことなく、都民や事業所の皆様のご理解とご協力を得ながら環境確保条例を改正し、工場やオフィスビルなど大規模な事業所へのCO2排出総量の削減義務化などの対策を進めています。今後も、太陽エネルギー利用機器や環境負荷の低い電気自動車等の普及などに意欲的に取り組んでまいります。

私は知事就任以来、東京の再生、そして東京から日本を変えるための様々な政策を国に先駆け、積極的に講じてまいりました。

都では、東京の近未来図である「十年後の東京」の実現に向けて、数々の政策を策定し、緑あふれ、美しく、安心・安全な都市へと一層の成熟を遂げる姿を描きました。現在、既に臨海部での「海の森」づくりや街路樹の倍増、先に述べたCO2排出削減対策など具体的で実践的な施策に着手しております。

引き続き本年は、昨年末に策定した「十年後の東京への実行プログラム二〇〇九」を果断に実行し、一層、都民生活を支える幅広いテーマに全庁を挙げて取り組んでまいります。

また、東京都が開催を目指している二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致活動もいよいよラストスパートの時期を迎えております。スポーツには社会を変え、人を変える力があります。日本の若者たちが、オリンピックという最高の舞台で、スポーツを通じて人間の多彩な可能性が開花する様を体験し、心の財産を築いてほしいと心から願っています。是非とも今年十月にコペンハーゲンで開催されるIOC総会で、東京への招致を勝ち取ってまいります。

緊急事態に対処しつつ、将来を見据えた重層的・複合的な政策を強力に展開して、この国の羅針盤ともなる確かな歩みを進めていく覚悟ですので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。